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官能小説 肥満熟女の園
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顔の皮膚の下には、表情というコミュニケーションを担うきめ細かな筋肉が走っているのだが、その筋肉が面の皮ごと顔面の中心点に集まって来ている事が分かる。
中心点は言わずもがな鼻という部位。
だがコミュニケーションツールは一部破損し機能不全となりながらも、その機能が完全に停止している訳ではなかった。
喜怒哀楽を相手に伝える事もできる。
ただし、喜びの表情は卑猥な笑顔となり成り果て、怒りの表情はただただ滑稽で笑いを誘い、哀しみの表情は無様で惨めにして更に慰みを受ける羽目に、楽しいという表情に至っては気が狂ったかの様に相手に受け取られてしまうかもしれない。
目は口ほどにものを言う・・ということわざがあり、鼻の存在がないがしろにされているが、実のところ鼻が正しい形状でないだけで人はものを語ることもおぼつかない。
しかしその状態でありながら、ある部分では元の素顔をも上回る感情表現を行うこともできる事実も記そう。
それこそが淫らな感情表現。
淫猥な表情となると逆に表情が豊かとなり、余すところなく、それこそ本当は相手に知られたくない部分までも伝える事ができるのだ。

斉藤和枝は生まれて初めて鼻フックを装着していた。
生まれて初めてという台詞、四十五歳の年齢を考えれば、和枝の皮下脂肪総量ほどに重い。

和枝は震える手で自らの突っ張った頬を撫でたあと、豚の様にひしゃげた鼻へと触れてみた。

「んおぉ・・おぉ・・」

普段眼鏡を愛用する和枝は、愛用していない者に比べれば自らの鼻に触れる機会が多い。
定位置から下がりズレてしまった眼鏡を掛け直す時がそれだ。
その和枝が思わず声を漏らした。
鼻フックで上へ吊られ、更に左右に広げられた鼻は、形だけの変化に留まらず感度をも増しているためだ。

「顔がおまんこみたいでしょう和枝さん。貴方が触れた鼻がクリトリス、そして口が膣になるかしらあ。・・だとするば和枝さん、貴方の顔まんこは随分と歪で、貴方の汚まんこ程に見れたものでないわね」

そう言って黒田松子は、和枝の顔を覗き込みながら、陰唇に喩える厚い唇を指で擦った。
和枝がまた呻く。

「自分の顔がいまどうなっているか気になるわよね。 いいわ、見せてあげる」

松子は和枝の顔の前から身体を退けた。
今まで砂かぶり席にあった松子の顔が離れた事で和枝の視界が広がる。
長らく自分と同じ肥満熟女の顔を見詰め続けた和枝には遠目がボヤけ気味にもなるが、鏡に映る自分、豚の身体の上に豚の顔が乗る惨めな自身の姿が飛び込んで来る。
大雑把で女性的なラインがディフォルメ強調されたかのような肉体に対し、大袈裟に自己主張する鼻の穴が奇妙な調和を生んでいた。

ファンタジーの世界でならば、こちらの問い掛けに対する答えを映し出す鏡や、未来を予知したり過去を記憶する鏡など様々にあるのだが、それらは現実世界の鏡ほどに残酷な物ではない。
ただの鏡は、目の前にある事実のみを反射しているだけに過ぎず、そこに映る事がどんなに酷い内容であろうと、覗く者は今現在進行形である事実として受け止めねばならないからだ。
和枝の顔面の有様は、当人の予想を上回り、醜く無様だった。

「ハァ・・ああ・・ こんな顔、惨め過ぎるわ・・。みっともないっ・・なんて、なんて恥かしい女なのオォっ!」

和枝は目の前の豚面に吐き捨てたのだが、磨き抜かれた鏡は映る像のみならず声までも反射する事ができるとみえ、自らの自らへの罵倒で乳首は膨張し更には硬化した。

「違うでしょ和枝さん。この場合『なんて恥かしい豚なの』が正解よお」

松子は和枝の背後に取り付き、汗でヌルつく腋の下へ腕を通すと、和枝の垂れた乳房を補整する様に揉み上げ、先端で尖る乳首を摘んで扱き転がした。

「んあっ! そ、そうです。私は・・恥かしい豚です。ハァぁ・・もっと、もっと辱しめて、豚としての喜びを与えて下さい・・」

途端に和枝は悶え出す。
誰に指図された訳でもなく、まるで警察官に背後から拳銃を突き付けられた犯人の様に頭の後ろで手を組むと、腋下から茹だる濃厚な牝香を振り撒きつつ乳房を弄ばれる事に興じた。

「和枝さんが恥かしい豚だなんて事は、貴方を初めて見た時から・・、いいえ、電話で貴方の声を初めて聞いた時から判っていてよ? 鼻フックで豚面にしてもらってから自覚するなんて遅すぎよおw」

松子は和枝から開いた腋の下へ鼻を寄せ、腋臭を楽しみつつ笑って言った。
そんな松子の様子は鏡で和枝にも知れるところ。
恥かしい腋臭を嗅がれているのだと意識して、更に腋の下がヌルつきベタついていく。

松子は更に和枝に身体を密着させると、ぐいぐいと押し、和枝を鏡の方へと押し出した。
二人の肥満熟女の肉体はそれぞれ起伏に富み、その二人が身体を合わせると凹凸が合致し隙間を埋める。
それはあたかも動物パズルの隣り合うピースの様に、その位置で合わさる事が自然であるがごとく、不自然な肥満体躯にして納まりの良い密着だった。

「イぁっ!?」

鏡に対し一歩、二歩。
近付くだけ自分の豚面の細部まで拝む破目になる和枝。
そして和枝は鏡に程近くなると何かに気付き顔を伏せた。
上目遣いで怖々と鏡を伺っている。

「あはは ようやく気付いた様ねえ。何だって遅すぎよお和枝さんは。 ほおら、恥かしいのが大好きな豚なんでしょうが、ちゃんと見なさいっ!」

松子は和枝の髪の毛を掴むと力任せに引っ張りあげた。
その結果、髪の毛に同化する鼻フックのベルトまでも引き絞られる形となり、和枝の鼻の穴が更に深刻に吊り上げられる。

「ひいぃイィんっ!」

松子の口振りは、和枝当人より先に、この事に気付いていたと言うもの。
和枝は、帰宅してからスカートのファスナーが開いていた事実に気付いた様な羞恥に襲われる。
自分では気付いていなかった恥かしい事を相手には知られていた。
その事に対しての警戒は抜け落ち、振舞っていた事すらも羞恥の一部だ。

「ふふ 豚の鼻の穴の奥に何が見えて? 言ってごらんなさい」

鏡の中で和枝の顔と横並ぶ松子の顔は満面の笑みだ。
対して和枝は、鼻をフックで吊られる無様な顔はもちろん、今にも泣き出し許しを請う様な情けない顔を晒している。

「ぅぅ・・、・・鼻・・糞・・。 鼻糞が見えます」

絞り出す和枝。
彼女の目に、自らの鼻腔の奥にへばり付き鼻毛に絡まる粘液の滓が映る。
それも片方の穴に限らず、両方の穴の奥にそれはあった。

奇しくも先の鼻ほじりの恩恵が広げられた鼻腔の奥底に表れていたのだ。
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